議事録づくりに、毎週何時間使ってますか?

ミドリ: タツヤさん、ちょっと愚痴なんですけど……毎週の定例会議のあと、議事録をまとめるのに30分以上かかってて。録音を聞き直して、要点を書いて、ToDoを整理して……地味にしんどいんです。

タツヤ(nodding): あー、それは多くの会社の「あるある」だね。しかもその30分、本来やりたい仕事の時間を削ってるわけだ。

ミドリ: そうなんです。これ、AIでなんとかなりませんか?

タツヤ(smiling): なるよ。しかも大がかりなシステムはいらない。Google Apps Script(GAS)と生成AIを組み合わせれば、録音から議事録・ToDo・通知までを自動でこなせる。今日はその仕組みを、コードが書けなくてもわかるように説明しよう。

何を自動化できるのか — 全体像

ミドリ: まず、どこまで自動でできるのか知りたいです。

タツヤ: 理想形はこういう流れだ。人がやるのは「録音する」だけ。

ミドリ(surprised): 録音するだけで、あとは全部勝手に?

タツヤ: そう。「議事録を書く」という作業自体が消えるんだ。人間は最後に内容をサッと確認するだけでよくなる。

仕組みのイメージ

ミドリ: 裏側ではどうつながってるんですか?

タツヤ: 登場人物は3つだけ。難しく考えなくていい。

役割担当やること
司令塔Google Apps Script全体の流れを自動で回す
文字起こしサービス音声をテキストに変換
頭脳生成AI(Gemini API等)要約・ToDo抽出を行う

ミドリ: GASが司令塔なんですね。

タツヤ(nodding): そう。GASが「録音ファイルを見つけたら→文字起こしに渡して→そのテキストをAIに渡して→結果をスプレッドシートに書いて→通知する」という一連の流れを、人の代わりに回してくれる。これをワークフローって呼ぶんだ。

なぜGASが中小企業に向いているのか

ミドリ: 数あるツールの中で、なぜGASなんですか?

タツヤ: 中小企業にとって、GASには3つの強みがある。

ミドリ(thinking): わざわざ新しいシステムを買わなくても、今ある環境の延長でできるんですね。

タツヤ: そこが大きい。「今あるGoogleにAIの頭脳を足す」だけ。導入のハードルがぐっと下がるんだ。

作る手順の全体像

ミドリ: 実際に作るとなると、どんな手順になりますか? 私、コードは書けないんですけど……。

タツヤ: 全体像だけ掴んでおけば、あとは専門家に頼むときも話が早い。大きくこの4ステップだ。

  1. 録音の置き場所を決める — Googleドライブの特定フォルダに録音を入れるルールにする
  2. 文字起こしを用意する — 音声対応のAIや文字起こしサービスでテキスト化する
  3. AIへの指示(プロンプト)を作る — 「この文字起こしから、決定事項とToDoを抽出して」と指示する
  4. GASで全部つなぐ — 上の流れを自動で回し、結果をスプレッドシートとメールに出す

ミドリ: 3番の「AIへの指示」が、品質を決めそうですね。

タツヤ: 鋭い。そこが一番の肝なんだ。

AIに任せる「議事録の型」をプロンプトで決める

タツヤ: 同じ会議でも、指示の仕方で議事録の質はガラッと変わる。だから「出力の型」をプロンプトで固定するのがコツだ。たとえばこう指示する。

ミドリ(nodding): 「いい感じにまとめて」じゃなくて、出力の形まで指定するんですね。

タツヤ: そう。型を決めれば、毎回ブレない議事録が出る。この型を一度作ってテンプレ化すれば、あとは誰が回しても同じ品質になるんだ。

よくあるつまずきと対策

ミドリ: 始める前に、気をつけることはありますか?

タツヤ: 3つ知っておくといい。

つまずき対策
文字起こしの精度が低い専門用語の辞書を用意/録音環境(マイク)を改善する
機密情報の取り扱い法人向けプランを使い、入力が学習に使われない設定にする
長い会議で文字数制限に当たる議題ごとに分割して要約し、最後に統合する

ミドリ(thinking): 機密の話、この前の「シャドーAI」の回ともつながりますね。

タツヤ: その通り。便利だからこそ、「何を入力していいか」のルールはセットで決める。自動化とガバナンスは両輪なんだ。

効果と、次の自動化への発展

ミドリ: 実際、どれくらい楽になるんでしょう?

タツヤ: たとえば1回30分の議事録作成が、確認だけの5分になれば、1回25分の削減。週1回・月4回なら月100分、年間で約20時間が浮く計算になる。あくまで一例だけど、効果は小さくない。

ミドリ(surprised): 年間20時間……。それだけあれば、他のことができますね。

タツヤ: そして一度この「流れ」を作れたら、応用が効く。脱エンジニアの視点で考えると、最初の1業務を自動化しきれるか、ここが分岐点になります。議事録で成功体験を積めば、次は問い合わせ対応、その次は日報集計、と社内の自動化がドミノ式に広がっていくんだ。

議事録の次に自動化したい「社内業務トップ5」

ミドリ: 議事録で成功したら、次はどんな業務を自動化するのがおすすめですか?

タツヤ: 「毎日発生して」「定型で」「文章を扱う」業務が狙い目だ。中小企業でよく効くのはこのあたり。

業務自動化のイメージ効果
問い合わせ一次対応受信メールをAIが分類・下書き返信対応時間の短縮
日報・週報の集計提出された日報をAIが要約・課題抽出管理者の確認が楽に
見積・請求書の作成補助定型フォーマットへAIが下書き作成ミスの削減
SNS・ブログ下書き要点からAIが文章生成発信の継続
顧客リストの整理名刺・問い合わせをAIが整形・分類入力作業の削減

ミドリ(thinking): どれも「文章を扱う、繰り返しの作業」ですね。

タツヤ(nodding): そう。人間が「考えなくてもできるけど、時間はかかる」作業こそ、AIに任せる第一候補。逆に、判断や創造が要る仕事は人間が握る。この線引きが大事なんだ。

どこまでGASで、どこから専用ツールか

ミドリ: 何でもGASでできちゃうなら、専用ツールはいらないんですか?

タツヤ: いい疑問。GASは万能じゃない。向き・不向きがあるんだ。

ミドリ: まずGASで小さく試して、手に負えなくなったら専用ツールへ、という順番ですか?

タツヤ: その通り。最初から大きな投資をしないのが鉄則。GASで「自動化って効くんだ」を体感してから、必要に応じてステップアップすればいい。多くの中小企業は、実はGASの範囲だけでも十分な効果が出るんだ。

文字起こしの精度を上げる、現場の小さな工夫

ミドリ: 自動化の品質って、結局は文字起こしの正確さに左右されそうですね。

タツヤ: その通り。土台のテキストが崩れていると、AIの要約もズレる。でも精度は、ちょっとした工夫で大きく変わるんだ。まず、マイク環境を整えること。会議室の中央に集音マイクを1つ置くだけで、聞き取りやすさが段違いになる。次に、話し方のルールを決めること。発言の頭に名前を言う、一度に一人が話す、というだけで、誰の発言かをAIが追いやすくなる。

ミドリ(thinking): 高い機材より、ちょっとした習慣なんですね。

タツヤ: そう。それと、自社の専門用語や固有名詞のリストを用意して、AIに「この単語はこう表記して」と渡しておくと、社名や製品名の誤変換がぐっと減る。完璧な文字起こしを目指すより、「8割正しく起こして、残りは人が確認」くらいの割り切りが、現場では一番うまく回るんだ。

自動化を「自分ごと」にする小さな仕掛け

ミドリ: 仕組みを作っても、現場が使ってくれなかったら意味がないですよね。

タツヤ: ここも大事。自動化を根付かせるコツは、「楽になった実感」をすぐ返すことだ。たとえば、自動で出来た議事録の冒頭に「この議事録はAIが作成しました。確認だけお願いします」と一文添える。すると現場は毎回「あ、自分が書かなくてよくなった」と実感する。小さな成功体験の積み重ねが、抵抗感を溶かしていくんだ。

ミドリ(smiling): 「楽になった」が見えると、続けたくなりますね。

タツヤ(nodding): そう。人は『得した』と感じたものは手放さない。だから自動化は、効果を本人に見える形で返してあげる。それだけで定着率がまるで違ってくるんだ。

まとめ

タツヤ: 今日のポイントを整理しよう。

ミドリ: 「録音するだけ」で議事録が出来上がる未来、想像以上に現実的でした。

タツヤ: そう。難しいプログラミングの知識がなくても、「何を自動化したいか」さえ言葉にできれば、形にできる時代なんだ。まずは議事録から、ぜひ試してみてほしい。

次のアクション

議事録の自動化は、社内DXの絶好の第一歩です。この順で始めましょう。

  1. 現状を測る — 今、議事録作成に1回あたり何分かかっているかを記録する
  2. 録音と置き場所のルールを決める — 「会議は録音し、このフォルダに入れる」を習慣化する
  3. 出力の型を1つ作る — 「決定事項・保留・ToDo」のテンプレートをたたき台として用意する

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