検索されているのにサイトに来ない、はなぜ起きる?
ミドリ: タツヤさん、うちのサイト、検索順位はそこまで落ちていないのにアクセスだけ減っているんです。何が起きているんでしょう。
タツヤ(nodding): 典型的な症状だね。原因はたぶんゼロクリック。ユーザーが検索して、AIの回答を読んで、サイトに来ないまま満足して終わる。
ミドリ(surprised): 答えが検索画面で完結してしまうんですね。
タツヤ: そう。2026年時点の調査では、検索の6割超がサイト遷移なしで完結しているという数字もある。この流れは戻らないと思ったほうがいい。
ミドリ: じゃあ、SEOはもう無駄ですか?
タツヤ(thinking): そこが誤解されやすいところでね。無駄じゃない。勝負のルールが変わっただけなんだ。今日はそこを整理しよう。
LLMO / GEO とは何か
ミドリ: よく見かける「LLMO」とか「GEO」って、何の略なんですか?
タツヤ: どちらもほぼ同じ意味で使われている。
- LLMO(Large Language Model Optimization) — 大規模言語モデルに正しく認識・引用されるための最適化
- GEO(Generative Engine Optimization) — 生成AI検索エンジンに向けた最適化
ミドリ: 呼び方が2つあるんですね。
タツヤ: 業界でまだ用語が固まっていないだけで、やることはほぼ同じ。AIが答えを作る時に、自社の情報を材料として使ってもらうことが目的だね。
ミドリ(thinking): 順位を上げるんじゃなくて、引用してもらう。
タツヤ: そこが決定的な違い。従来のSEOは「10件のリストで何番目か」の勝負だった。AI検索は「回答文の中で名前が出るかどうか」の勝負なんだ。
従来のSEOとどこが同じで、どこが違うか
ミドリ: 今までやってきたことは活きますか?
タツヤ: 半分活きる。整理するとこう。
| 項目 | 従来SEO | AI検索(LLMO/GEO) |
|---|---|---|
| 良質なコンテンツ | 重要 | 同じく重要 |
| 技術的な健全性(表示速度・クロール) | 重要 | 同じく重要 |
| 被リンク | 非常に重要 | 重要度は相対的に低下 |
| キーワードの詰め込み | 効果なし | むしろ有害 |
| 情報の構造化 | あると良い | 必須級 |
| 結論の位置 | どこでもよい | 先頭に置く |
| 事実の明確さ(数値・日付・出典) | あると良い | 決定的に重要 |
ミドリ: 「結論を先頭に置く」が効くんですか。
タツヤ(nodding): AIは大量の文書から答えの材料を探す。結論が最初の数行にある文書のほうが、材料として使われやすい。起承転結で書いて最後に結論、という構成は不利になる。
AIに拾われる文章の書き方
ミドリ: 具体的にはどう書けばいいんですか?
タツヤ: 5つのコツがある。
- 質問と答えの形にする — 見出しを疑問形にして、直後に1〜2文で答える
- 数字と日付を入れる — 「多くの企業が」より「2026年3月時点で20.4%の企業が」
- 出典を書く — どこの調査か、いつの情報かを明記する
- 1段落1論点にする — 複数の論点が混ざった段落は引用しにくい
- 専門用語には定義を添える — 略語は初出でフルスペルと日本語訳を書く
ミドリ: 人間が読みやすい文章と、けっこう近いですね。
タツヤ: そこが救いでね。AI向けの小細工が効く世界ではない。むしろ「わかりやすく、根拠を示して、正確に書く」という基本が、そのまま効く。
ミドリ(thinking): キーワードを詰め込むのが有害というのは?
タツヤ: AIは文意で判断するから、不自然な繰り返しは質の低い文書という判定材料になる。昔のSEOテクニックが、今はマイナスに働くんだ。
会社そのものを認識してもらう
ミドリ: 記事以外にできることはありますか?
タツヤ: ある。むしろこちらが本丸かもしれない。AIが「この会社は何者か」を正しく理解している状態を作ることだね。
ミドリ: どうやって確認するんですか?
タツヤ(smiling): 簡単だよ。AIに自社について聞いてみる。
「株式会社○○について教えてください」
「○○という会社は何をしている会社ですか」
「△△の分野で日本の中小企業向けに支援している会社を教えてください」
ミドリ(surprised): それでいいんですか。
タツヤ: それがいちばん確実な現状把握。間違った説明が返ってきたら、それが今のあなたの会社の「AIから見た姿」なんだ。何も返ってこなければ、そもそも認識されていない。
認識されるための土台
タツヤ: 認識を固めるには、この4つを揃える。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一貫した会社説明 | 自社サイト・各種プロフィールで同じ表現を使う。表記ゆれを消す |
| 構造化データ | 会社情報・サービス・FAQ を機械が読める形式で記述する |
| 事実の明記 | 所在地・設立年・事業内容・対応領域を、曖昧さなく書く |
| 第三者の言及 | 取材記事、掲載事例、外部メディアでの紹介 |
ミドリ: 表記ゆれって、そんなに影響しますか?
タツヤ: する。「AIエージェント開発」「AI agent 開発」「エージェント型AIの構築」が混在していると、AIは同じ会社の説明として結び付けにくくなる。社内で言葉を統一するだけで効果があるんだ。
ミドリ(thinking): これは技術じゃなくて、決めごとの話ですね。
タツヤ: そう。しかも一度決めれば資産になる。ここは費用がかからないのに効果が大きい、珍しい施策だと思う。
脱エンジニアの視点で考えると、「自社を一文でどう説明するか」を決められるかが分岐点になります。 その一文が社内でバラバラだと、AIにも顧客にも同じようにバラバラに伝わる。逆にそこが揃っていれば、あとは書く場所を増やすだけの作業になるからね。
効果はどう測るのか
ミドリ: これ、成果をどう確認すればいいんでしょう。
タツヤ: 従来のアクセス解析だけでは足りない。3つの見方を足すといい。
- AI検索経由の流入を分離して見る — 参照元にAIサービスが現れているかを確認する
- 定点で質問して記録する — 毎月、同じ質問をいくつかのAIに投げて、回答内容を保存する
- 指名検索の推移を見る — 会社名で直接検索される回数が増えているか
ミドリ: 2つ目は手作業ですか?
タツヤ(nodding): 手作業でいい。5つの質問を毎月1回、結果をスプレッドシートに貼るだけ。10分で終わるし、変化が目に見える。
ミドリ: AI検索からの流入って、まだ少ないんじゃないですか?
タツヤ: 現時点では少ないという分析が多いね。だからこそ今のうちだと考えている。競合がまだ手を付けていない領域で、しかも施策の多くはコンテンツの書き方という積み上げ型。始めるのが早いほど有利になる性質なんだ。
技術的な下地も要る
ミドリ: 文章の書き方以外に、技術面でやることはありますか?
タツヤ: ある。そもそも読まれる状態になっているかという話だね。ここが崩れていると、どんなに良い記事を書いても届かない。
ミドリ: 読まれない状態、というのは。
タツヤ: 4つ確認してほしい。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| クロールを拒否していないか | 設定ファイルでAI関連のアクセスを一律ブロックしていないか |
| 本文がすぐ読めるか | 画面の描画を待たないと本文が出ない作りだと、拾われないことがある |
| 表示が速いか | 重いページは巡回の優先度が下がる |
| 構造化データがあるか | 会社情報・FAQ・記事情報を機械可読な形で記述しているか |
ミドリ(surprised): 一律ブロックしている会社、ありそうですね。
タツヤ(nodding): 実際あるんだ。「AIに学習されたくない」という判断でブロックした結果、AI検索の回答にも一切登場しなくなる。
ミドリ: それは両立しないんですか?
タツヤ(thinking): 完全には分けにくいのが現状でね。学習を拒否すると、引用の候補からも外れやすくなる。だから経営判断として決める話になる。
ミドリ: どう考えればいいでしょう。
タツヤ: うちが勧めているのはコンテンツの種類で分けるやり方だね。
- 公開して広めたい情報(サービス説明、ブログ、事例) → 開放する
- 有料コンテンツや会員限定情報 → 保護する
ミドリ: 全部を同じ扱いにしなくていいんですね。
タツヤ: そう。広めたいものは広める、守りたいものは守る。当たり前のことなんだけど、設定が一律になっていて意図と合っていない会社は多いよ。
構造化データは3つから
ミドリ: 構造化データは何から入れればいいですか?
タツヤ: 3つで十分。
- 組織情報 — 会社名・所在地・事業内容・連絡先
- 記事情報 — タイトル・著者・公開日・更新日
- FAQ — 質問と回答のペア
ミドリ: FAQが入っているんですね。
タツヤ(nodding): 質問と答えの形は、AIにとって最も使いやすい形式だからね。既存のよくある質問ページを構造化するだけで効果が出ることがある。新しく作らなくていいのが良いところ。
よくある失敗
ミドリ: 注意点も教えてください。
タツヤ: 4つ。
- 既存SEOを捨てる — 従来検索はまだ大きい。足す施策であって、置き換えではない
- AI向けに大量の薄い記事を量産する — 質の低い文書は逆効果。引用されるのは中身のある文書だけ
- 専門用語だけで書く — 定義がない文書は使われにくい。初出で説明する
- 成果を1か月で判断する — 認識が変わるには時間がかかる。最低3〜6か月見る
ミドリ(thinking): 量産が逆効果というのは、これまでと逆ですね。
タツヤ: 逆になった。記事数で押す時代から、正確さで選ばれる時代へ。中小企業にとってはむしろ有利な変化だと思うよ。大量生産では大手に勝てないけど、正確さと専門性なら勝てる。
まとめ
タツヤ: 今日の要点を整理しよう。
- 検索の6割超がゼロクリックで完結。勝負は「クリックされるか」から「引用されるか」へ
- LLMO/GEOはほぼ同義。AIに正しく認識・引用されるための最適化
- 従来SEOと良質なコンテンツ・技術的健全性は共通。構造化・結論の先出し・事実の明記が新たに重要
- キーワードの詰め込みは有害に変わった
- AIに自社を質問するのが最も簡単な現状把握。間違いや無反応が現在地
- 表記の統一は無料で効果の大きい施策。社内で言葉を揃える
- 効果測定はAI経由流入・定点質問の記録・指名検索の3点で
ミドリ(smiling): 小手先じゃなくて、正確にわかりやすく書くという基本に戻る感じですね。
タツヤ: まさにそう。AI検索最適化の正体は、丁寧な情報発信なんだ。テクニックを探すより、自社の説明を整えるところから始めたほうが確実に効くよ。
次のアクション
ミドリ: 今日からできることは?
タツヤ: この3つ。
- 主要なAIに自社について5つ質問し、回答をそのまま保存する — 10分。これが現在地の記録になる
- 自社を説明する一文を決め、サイト内の表記を統一する — 事業内容・対象顧客・提供価値を1文で
- 既存記事の上位5本に、結論の先出しと数値・出典を追記する — 新規作成より既存改善のほうが速い
タツヤ: Shimanto AI Solutionsでは、この対応を支援しているよ。
- AI認識状況の診断 — 主要AIが自社をどう説明しているかを調査し、誤認識を洗い出す
- 構造化データと表記統一の実装 — 機械が読める形式での会社・サービス情報の整備
- 引用されるコンテンツ設計 — 結論先出し・出典明記の型を、既存記事に適用する改修
ミドリ: まず現在地を知るところからですね。
タツヤ: そう。AIが自社をどう説明しているか知らないまま対策しても、当てずっぽうになるからね。
参考にした情報
執筆時点(2026年8月)に確認した資料です。ゼロクリック率や流入比率は調査主体によって数値が異なるため、傾向として捉えてください。
- SEO, GEO, LLMO, AIO... 開発者のための「AI検索最適化」実装ガイド — Zenn
- GEO/LLMO対策 ≒ SEO|AI検索流入0.1%のデータから見る — ミエルカ(AI検索流入の実測値に基づく分析)