コマンドを1つも覚えずに、LINEスタンプ14枚を数分で量産できる?

ミドリ: タツヤさん、前から思ってたんですけど、うちのブログの私とタツヤさんのアバター画像、あれでLINEスタンプ作れませんか? でも私、PhotoshopもGIMPも使えないんですよね……。1枚ずつサイズ変更するのを想像しただけで気が遠くなります。

タツヤ: それ、先週まさにやったんだ。結論から言うと、画像加工ソフトは1回も開いてない。Claude Codeに「アバター12枚をLINEスタンプの規格に変換して」と頼んだら、規格の確認からImageMagickでの一括変換まで、会話だけで数分で終わった。

ミドリ(surprised): 数分!? ImageMagickって、あの黒い画面で呪文を打つやつですよね?

タツヤ: そう、その「呪文」を人間が覚える必要がなくなったのが今日の本題だよ。

ImageMagickとffmpegは「最強だが呪文が難しい」道具だった

タツヤ: まず主役2つを紹介しておこう。

ミドリ: 名前は聞いたことあります。エンジニアさんがよく使ってるやつ。

タツヤ: どちらも無料で、性能は商用ソフト級。ただし弱点が1つだけあって、オプションが膨大で呪文化していること。たとえば「余白を切り詰めて370×320の透過PNGにする」はこうなる。

magick input.png -trim +repage -resize 350x300 \
  -background none -gravity center -extent 370x320 output.png

ミドリ(confused): ……これを12枚分、覚えて打つんですか?

タツヤ: 昔はそうだった。今はこの呪文を考えるのがLLMの仕事になったんだ。

なぜLLMと組み合わせると化けるのか

タツヤ: Claude CodeみたいなCLIエージェントは、ターミナルでコマンドを実行できる。つまり、

  1. 人間は日本語で目的を言う(「LINEスタンプの規格に変換して」)
  2. AIが規格を調べ、呪文を組み立て、実行し、結果を検証する
  3. エラーが出たらAIが自分で原因を調べて別の手を試す

タツヤ: ImageMagickは1990年、ffmpegは2000年から続く「枯れた」ツールだから、AIの学習データに使い方が大量に含まれてる。「歴史が長く、ドキュメントと事例が豊富なCLIツール」はLLMとの相性が最強なんだ。

ミドリ: 新しいツールより、古くて枯れたツールの方がAIは上手に使えるんですね。ちょっと意外です。

実践①:LINEスタンプの規格をAIに調べさせる

タツヤ: 最初の依頼はこれだけ。「LINEスタンプの画像規格を調べて」。返ってきた要点がこの表だ。

画像サイズ備考
スタンプ画像最大370×320px8/16/24/32/40個から選択
メイン画像240×240pxストアの顔になる1枚
トークルームタブ画像96×74px一覧に出る小さいアイコン
形式PNG(背景透過)余白10px程度・RGBモード

タツヤ: アニメーションスタンプならAPNG形式(320×270が目安)。詳細はLINE Creators Marketの公式ガイドラインが正だから、審査に出す前に必ず確認してほしい。

実践②:12枚一括変換 — 実際にやった依頼と結果

ミドリ: 実際にはどう頼んだんですか?

タツヤ:avatars/フォルダの12枚を、余白を切り詰めてLINEスタンプ規格(370×320・透過PNG・余白10px)に一括変換して。メイン画像とタブ画像も作って」。これだけ。AIがforループ入りの呪文を組んで実行した。

for f in avatars/*.png; do
  magick "$f" -trim +repage -resize 350x300 \
    -background none -gravity center -extent 370x320 "out/$(basename $f)"
done

結果は12枚のスタンプ+メイン+タブの計14ファイルが数秒で生成。1枚あたり100KB前後、全部規格どおりのサイズになっていた。

ミドリ(smiling): 手作業なら半日コースの作業が数秒……。

ハマりどころ①:拡張子.pngの正体がJPEGだった

タツヤ: ここからが面白いところで、実はすんなりいかなかった。AIが変換前に magick identify で元画像を検査したら、衝撃の事実が出たんだ。

midori-smiling.png JPEG 1024x1024 8-bit sRGB

ミドリ: えっ、拡張子は.pngなのに、中身はJPEG?

タツヤ: そう。AI画像生成ツールの出力をそのまま保存していたから、拡張子と実体が食い違ってた。JPEGは透過情報を持てないから、そのままだとLINEの「背景透過」要件を満たせない。ここでAIは背景色を検出して透過に置き換える手を打った。

magick stamp.png -fuzz 8% -transparent "#f2f4f6" stamp-alpha.png

タツヤ: 「ファイルの拡張子を信用せず、まず中身を検査する」——人間なら見落として審査で差し戻される類のミスを、道具側の習慣で拾ってくれたわけだ。

ハマりどころ②:ffmpegが2回エラー → AIが自分でリカバリ

ミドリ: ffmpegの出番はどこだったんですか?

タツヤ: アニメーションスタンプ用のAPNG生成。2枚の表情を交互に切り替えるアニメを作らせたんだけど、ここでffmpegが2連続でエラーを吐いた。フィルタの組み方とエンコーダの相性問題でね。

ミドリ(thinking): そこで人間が調べる羽目になるんじゃ……。

タツヤ: ならなかった。AIはエラーメッセージを読んで、フィルタ方式をやめて連番画像方式に自分で切り替えた

ffmpeg -framerate 2 -i seq%d.png \
  -vf "scale=320:270:force_original_aspect_ratio=decrease,\
pad=320:270:(ow-iw)/2:(oh-ih)/2:color=0x00000000,format=rgba" \
  -plays 0 midori-anim.apng

3回目で320×270のAPNGが完成。エラー→原因推定→別ルート、のデバッグループごと任せられるのが、コマンド生成AIと決定的に違うところだよ。

ビジネス応用:スタンプはただの入口

ミドリ: これ、スタンプ以外にも使えますよね?

タツヤ: むしろ本命は業務のほうだ。同じ「日本語→ImageMagick/ffmpeg」パターンでできる例を挙げると、

タツヤ: 脱エンジニアの視点で考えると、「専用ソフトを買う/外注する」だった作業を「手元のAIに頼む」に置き換えられるかが分岐点になります。ImageMagickとffmpegは無料だから、追加コストはほぼゼロだ。

注意点:審査・権利・収益の現実

タツヤ: LINEスタンプとして売るなら3つ注意がある。

  1. 審査がある:規格違反(透過忘れ・余白不足)や、他者の著作物・商標を含むものは通らない。キャラは自社オリジナルであることが大前提
  2. 権利の確認:AI生成画像を商用利用する場合、生成に使ったツールの利用規約で商用可否を確認する
  3. 収益は「体験」と割り切る:クリエイターの取り分は販売額の35%程度が目安(ストア手数料控除後の折半。最新条件は公式で確認)。スタンプ単体で儲けるより、「AIでここまでできる」の実演・ノベルティとしての価値が大きい

ミドリ: うちのスタンプも、お客さまへの説明デモに使えそうですね。

まとめ:呪文の暗記から解放されると、道具の価値が戻ってくる

ミドリ: 今日の話、「ImageMagickとffmpegがすごい」というより「すごい道具がやっと誰でも使えるようになった」という話なんですね。

タツヤ(nodding): その通り。この2つは昔から無料で最強だった。使われなかった理由は呪文の難しさだけ。LLMが操縦席に座ったことで、30年分の枯れた資産が非エンジニアの道具になったんだ。スタンプはその練習台として最高だから、まず自分のアイコンで1枚変換してみてほしい。

ミドリ(smiling): 私のスタンプ、さっそく審査に出す準備をします!


次のアクション

ミドリ: 読者のみなさんが今日試すなら?

タツヤ: 3ステップで進めよう。

  1. 道具の確認:Claude Code等のCLIエージェントに「ImageMagickとffmpegはインストールされてる?なければ入れて」と頼む(所要時間:5分)
  2. 1枚変換してみる:手持ちの画像1枚で「これをLINEスタンプの規格に変換して」と依頼し、magick identify での検査→変換→検証の流れを見る
  3. 業務の画像・動画作業を棚卸しする:「サイズ変更」「形式変換」「切り出し」を含む定型作業を3つ書き出し、同じパターンで自動化できないか試す

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